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子育ては誰のため
〜育児パパの心得〜
(最後に育児推薦図書の紹介があります)

2001.1.25


 以前、ある書物で「人は子育てをして初めて大人になる」というような趣旨の言葉を読みました。それじゃ子供がいない人は大人になれないのかというと、もちろんそんなことはないわけですが、ただ私も多少ながら子育てを経験して、「この言葉も一理あるな」と感じたのです。私自身、子供ができる前と今ではずいぶん色んな面で変わったと実感しています。やっと大人の仲間入りが出来たかなと思えるようになってきました。子供が生まれる前と今と何が変わったのでしょう。そしてどうして変わったのでしょう。

 まず、以前より感情がコントロールできるようになってきました。子供というのは自分の思う通りにならない存在であり、自分が何かやりたいと思った時におとなしく待っていてはくれません。ですから自分がやりたかったことと、子供に対してしなければならないこととの間で対立がある場合に、双方とうまく折り合いをつけていかなければなりません。これがうまくできないと育児をすること、子供がいること自体が嫌になってきてしまいます。私もたびたび葛藤を繰り返してだんだんと自分の感情と折り合いがつけられるようになってきました。ただこれは単なる自己犠牲になってしまってはいけないのだと思います。それは子供に負担をかけることになるでしょう。ですから自然と自分のことはさておいて子供のことをやれるようになれるとよいのだろうと思います。

 もちろん私は自分のことをすべて後回しにして子供の世話だけやれといっている訳ではありません。さっきも言ったように自己犠牲をしていると感じるくらいなら少しは自分の好きなことをやって子供に心理的な負担をかけないようにすることの方が重要かなとは思います。ただ、私は個人的には自分の都合に子供をつきあわせたくないと思っているので、子供のために時間を使うことをごく自然にできるようになれればと思っているのです。でも母親というのはそんなの当たり前という方も多いのでしょうね。

 それからもうひとつ、仕事に取り組んでいるときに、気持ちの踏ん張りがきくようになりました。私は実はかなりプレッシャーに弱い方で、仕事をしていてもしょっちゅう不安になったり逃げたくなったりしてしまうのですが、子供ができて、子供たちを育てる日々を送っているうちに、同じような場面が訪れても、そこでぐんと踏みとどまれるようになってきました。今でも相変わらず「いやだなあ」とか「やりたくないなあ」とか「どうしよう」ということも多いのですが、そのような時に思い出すのは子供たちと過ごした何気ない時間の風景です。彼らのはじけんばかりの笑顔と、100%安心して身を委ねてきた時の感覚を思い出しているうちに、不思議と頑張る気力が湧いてくるのです。絶対の信頼を置いてくれる存在の有り難さをこれほど感じたことはありませんでした。

 そうして気がついてみると、感情的に落ち着いて、肝心なときには強い気持ちで踏ん張れる自分がそこにいました。まだまだ足りないところだらけですが、そんな不完全な自分でもいいかなと思えるようにもなってきました。私がこうなれたのも子供たちと関ってきたおかげだと思っています。

 もともと私は子供に対して「育ててやっている」という態度をとるつもりもなかったのですが、今は実感として「私を成長させてくれたのは君たちだ」と思えます。私にとって子育ては子供のためでなく、自分のための修業のようなものです。この修業はつらいことや悩むことばかりなのですが、でも時々、この上もなく幸せな気持ちを与えてくれます。「子供は3歳までに一生分の親孝行をする」という言葉をどこかで見ましたが、まさにそこにいてくれただけで、育てさせてくれたおかげで測り知れない貴重なものをもらったような気がします。

 でもまだまだ子育ては長く続いていきます。大きくなったらなったで悩みの質が変わってくるだけで悩み自体は減らないのでしょうね。あ〜あ、君たち!もういいからとっとと大きくなって自立してくれ〜!そうしたらまた自分の好きなように生きてやる〜っ!・・・あれっ?

■ おすすめの育児関連書籍 ■

私が今まで読んだ育児関係の本の中で参考になったもの、共感できたものをご紹介します。

育児の原理(内藤 寿七郎 著 アップリカ)
 この本は友人が妊娠・出産するとお祝いとしてよく贈る本です。はじめての妊娠・出産を迎えるときには色々な不安が襲ってきますが、この本を読むと不思議と心が静まって穏やかな気持ちになれます。具体的なテクニックは通用しないことも多いんですが、それを差し引いても余りあるとてもよい本だと思います。デパートの出産準備品売り場によく置いてあります。
アドラー心理学トーキングセミナー 勇気づけのコミュニケーション(野田 俊作 著 アニマ2001)
 この本は、私が子育てに関る時に考え方、接し方の基本としてとても参考になった本です。最近はアドラー心理学の勇気づけの子育て理論についての本も時々見かけるようになりましたが、私が読んだ当時は知らなかったこともありなかなかユニークな理論だなと関心したものです。この本を読むと、リラックスして子育てすればいいやと思えるようになります。
子供という哲学者(ピエーロ・フェルッチ 著 草思社)
 著者が、自分の子育て体験から感じたことを書いています。彼は子供の目線になって子供たちの行動を肯定的に見ていて「子供ってすごい!」と関心ばかりしています。子供だとバカにしないで、子供たちの方がすごいじゃないと思い、認めてあげる。それって大事だなと思いました。
だいじょうぶ、うん、だいじょうぶだよ(富田 富士也 著 ハート出版)
 不登校、ひきこもりといった子供たちの相談などを数多く手がけ相談機関「フレンドスペース」の代表をされている著者が、子供たちの気持ちを教えてくれます。子供たちの声をとにかく聴いて受け止めてあげることの大切さがよくわかります。そして読んでるととっても温かい気持ちが伝わってくる本です。幼児期以降のお子さんがいる方は参考になるでしょう。
パパのココロ(ラズウェル細木 作 婦人生活社※出版社名が誤っておりました。訂正いたします
 これは「プチ・タンファン」という育児雑誌に数年前に連載されていたマンガです。ちょうど「ママはぽよぽよザウルスがお好き」と同時期に載ってました。男性ならではの素朴な驚きと冷静な分析が面白かったです。特に私が共感できたのは第1巻(全3巻)で、これを読むとその当時の私とそっくりでとっても感情移入してしまいました。私の隠れた育児バイブルでした。


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