緊急雇用対策により拡充された助成金
2000.7.6
2000年5月、政府は緊急雇用対策を発表いたしました。
その中で雇用の促進、なかでも未就職学卒者や
職業訓練受講者の雇用促進のために
いくつかの助成金制度が拡充されました。
このページではその内容について解説します。
今年1月に緊急雇用対策の一環として緊急雇用創出特別基金が創設され、雇用を創出する事業主に対し緊急雇用創出特別奨励金と新規・成長分野雇用奨励金の2つの助成金が新たに登場しました。この基金による助成金の特徴としては、1.企業規模を問わないこと 2.人数の上限がないこと 3.賃金助成の助成金と併給できること(雇用創出助成金、特定求職者雇用開発助成金等)などがありますが、残念ながら予算の1%程度しか利用されておりませんでした。そこで今回、これらの制度の要件を緩和し、利用できる範囲をかなり広げたのです。ではどのあたりが変わったのかについて次に解説します。
1.新規・成長分野雇用創出特別奨励金
(1) 新規・成長分野雇用奨励金
この助成金、従来は非自発的離職者(いわゆるリストラされた方)を職安の紹介により雇入れた場合に支給されていましたが、なかなか利用が伸びておりませんでした。そこで今回その要件が緩和されました。改正されたポイントは次の3点です。
1.対象者に未就職学卒者と職業訓練受講者を加える
未就職学卒者とは学校を卒業して1年以内の者で、いまだ雇用保険に加入していない者を言います。また職業訓練受講者とは職安の指示または推薦により公共職業訓練を受講した者を言います。
2.年齢制限の下限がなくなった
従来は30歳以上60歳未満という年齢制限がありましたが、今回この下限がなくなり、60歳未満であれば若年労働者でも対象となるようになりました。
3.支給金額が一律70万円となった
従来は年齢で区切り、40万円もしくは70万円でしたが、今回年齢に関係なく一律70万円となりました。
改正点を対照表で比較してみます。
現行 |
拡充後 | |
対象者 |
非自発的離職者 |
非自発的離職者 |
年齢 |
30歳以上60歳未満 |
60歳未満 |
支給額 |
30歳以上45歳未満 40万円 |
一律 70万円 |
その他の要件は従来通りであり、新規・成長15分野に該当する事業主が職安の紹介によ労働者を雇用保険の一般被保険者として雇入れることが前提となります。手続としては最初に新規・成長15分野に該当することの認定を受け、更に事前に雇入れ計画を届け出た上でその計画を前倒しして雇入れるという形をとる必要があります。
そして対象となる労働者の雇入れより1ヶ月後から起算して1ヶ月以内に支給申請を行います。
ちなみに新規・成長15分野とは以下の通りです
| 1.医療・福祉関連分野 | 6.環境関連分野 | 11.航空・宇宙(民需) 関連分野 |
| 2.生活文化関連分野 | 7.ビジネス支援関連分野 | 12.新エネルギー・省エネルギー関連分野 |
| 3.情報通信関連分野 | 8.海洋関連分野 | 13.人材関連分野 |
| 4.新製造技術関連分野 | 9.バイオテクノロジー 関連分野 |
14.国際化関連分野 |
| 5.流通・物流関連分野 | 10.都市環境整備関連分野 | 15.住宅関連分野 |
まだまだ色々と条件があるため、爆発的に利用が増えるとは思えませんが、利用できる対象は確実に広がっています。新規・成長15分野に該当する企業は、今一度チェックされるとよろしいかと思います。
窓口:財)高年齢者雇用開発協会
(2) 新規・成長分野能力開発奨励金
この奨励金も従来は45歳以上60歳未満の非自発的離職者(職安での求職者)のみが対象でしたが、今回の拡充で要件が以下のように変更されました。
公共職業安定所の受講推薦に基づき職業訓練を受講した次のいずれにも該当する者
上記の要件に該当する方を職安の紹介により職業訓練させた場合に奨励金が支給されます。事前に雇用・能力開発機構都道府県センターによる訓練実施計画の認定が必要です。
助成額も若干変更されました。(赤字が変更部分)
- 訓練がもっぱらOJTである場合 23,900円/月
- 座学が訓練時間の1割を超える場合 90,000円/月
支給は訓練開始から3ヶ月ごとに行われます。
また、受講者本人にも受講奨励金として 6,500円/日が支給されます。
窓口:財)高年齢者雇用開発協会
2.緊急雇用創出特別奨励金
この助成金は、失業率が一定水準以上となった場合に発動され、その指定された地域に所在する事業主が一定の条件の労働者を雇用した場合に支給されるものです。この助成金の特徴としては指定地域に所在する会社は業種を問わず利用ができることですが従来は地区ブロック毎の指定であり、失業率も3ヶ月平均で一定レベルを超えることが必要でした。それが今回の改正で、単月でも全国の失業率が5%を超えた場合には半年間この奨励金が使えることになりました。また雇入れ1ヶ月後に人数が増えていることという要件が撤廃されました。それから従来は非自発的離職者だけでしたが、これに職業訓練受講者が加えられました。ただこの奨励金は45歳以上60歳未満という年齢制限があります。また職安の紹介により雇入れることも従来通りです
手続は、1.と似ており、事前に雇入れ計画を届け出た上でその計画を前倒しして雇入れるという形をとる必要があります。助成額は雇入れ1人当たり30万円で、雇い入れ1ヶ月後に申請をして支給されます。この場合、通常は特定求職者雇用開発助成金も受給できることになります。
窓口:財)高年齢者雇用開発協会
3.生涯能力開発給付金
従来、この助成金では、いわゆる新入社員研修は計画書に書くことは求められていましたが、助成金の対象となっていませんでした。ところが今回、職安に就職希望の登録をした未就職学卒者を採用して必要な教育訓練を実施した事業主に対して助成金を支給することとなりました。対象となるためには平成12年9月30日までに訓練が開始される必要があります。(計画期間は6月以内)
助成率は大企業2/3 中小企業3/4で上限30万円となっています。
窓口:都道府県職業能力開発主幹課