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実務経験と社会経験

2000.8.31


 このHPをやっていると、いろいろな質問がメールなどで寄せられます。その中で多く聞かれるのが「開業したいのだけれど実務経験がない。実務経験は必要なのか。」というものです。この問題は割とポピュラーだと思うのですが、最近はこれに加えて、学生の方から「就職活動をするべきか社労士の勉強を続けるべきか。」といった類の質問をよく受けるようになりました。そこで今回は、社会保険労務士として開業するときに、実務経験は必要なのか。そして社会経験はどの程度重要なのかといった点について考えてみたいと思います。

 まず、実務経験ですが、これは私自身が実務経験ゼロから開業して今ここで続けられていることからも分かるとおり、必ずしもなければ開業ができないというものではありません。もちろんあるに越したことはないのですが、なかなか経験を積める場(修行させてもらえる事務所)がないということと、たとえ幸運にも勤める場所がみつかったとしても、開業に踏み切れるだけの十分な経験を積める保証がない(安価な労働力として使われてしまう可能性もある)ということがあるのです。開業してとりあえず日常業務を不自由なく行うだけであれば、ゼロから初めて、先輩や窓口で聞きいたり、自分で勉強しながら覚えていくことが十分可能です。逆にそれ以上の通常ではあまり経験できないケースまで熟知してから開業しようと思うと、事務所勤務を何年やっても足りないでしょう。つまりそう考えているといつまでたっても開業に踏み切れないのです。ですから開業はある意味では開業しようと思った時がしどころです。完全に不安を払拭して開業することなどなかなかできることではありません。程度の差こそあれ、誰しも清水の舞台から飛び降りるような決断をして開業の世界に入ってくるのです。

 そういった前提をふまえて、では実際にはどうやって実務経験を積んでいけばいいのかを考えます。まずは民間機関や有志の勉強会に出ることがあります。民間のいわゆる開業塾などは、それぞれ特色があり、書類の書き方を手取り足取り教えてくれるところや、書類の書き方より仕事を取るためにどういう思考方法をしていけばいいのか、ということを教えてくれるところなど、様々です。ですからそれぞれのニーズにあわせた選択が必要と言えるでしょう。開業者同士などの有志の勉強会などでは、それぞれが遭遇したケースを持ち寄って検討することにより、一人ではどうしても不足してしまう色々なケースの対処法を学ぶことができます。あとはやはり実際に仕事を受けていく中で先輩に聞いたり、実際に書類を提出する役所に聞いたりして覚えていくのが通常でしょう。何と言っても自分で処理するしかないような状況に置かれて、その中で必死で取り組むことが実務を身に付けるための一番の早道であると思います。開業年数の浅いうちは、聞くことはなんら恥ずかしいことではありません。知らずにお客様に迷惑をかけるよりも、しかるべきところに問い合わせてきちんと処理することが大事です。ただ、聞き方は多少考えなければなりませんが・・・。


 さて、続いて社会経験についてですが、これは恐らくあればあるだけよいのではないかと思います。なぜなら社会保険労務士は、企業の経営者とそこで働く従業員の問題について相談に乗ることが仕事だからです。そのような業務を行うにあたっては、サラリーマンの経験は役に立ちこそすれ、無駄になることはないでしょう。私は3年程度とかなり短いサラリーマン生活でしたが、それでもサラリーマン社会がどんなもんかという皮膚感覚だけは得られたと思っています。この感覚なしで仕事をすることはかなり怖いことのような気がします。
 欲を言えば、経営の中枢になるべく近い位置で仕事をする経験ができれば、開業してからかなり有利だろうと思っています。私自身、企業経験の少なさから事業主に対し、説得力あるアドバイスができずに歯がゆい思いを何度もしています。

 ですからこれから社会保険労務士を目指そうと思っている学生の方は、試験勉強もいいですが、その前に企業社会に一度は入って、その世界を肌で感じてからでも遅くはない、というか是非経験してからこの世界に入って欲しいと思うのです。

 ご参考になれば幸いです。


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